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加速するサイバー脅威の出現ペース: 歴史的な観点からの考察

2023年 03月 27日

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サイバー脅威が加速しており、セキュリティチームが開発のスピードに追いつくのに苦労しているというニュースはよく耳にします。それは事実で、驚くべきことでもありません。人類の全歴史を振り返ると、現状は、起きるべくして起こったことだと言えるでしょう。

サイバー攻撃は技術に対する攻撃ですが、攻撃ツールもまたそれ自体が技術です。テクノロジーが存在する限り、テクノロジーの発展速度は加速しており、それが止まる理由はありません。

ここに至るまでの道のり

技術開発がどのように加速してきたかを知るには、実際に振り返ってみるのが一番です。

  • 人類が最初の道具を作り、火を確実に灯し、コントロールできるようになるまでには、250万年の歳月が必要でした。80万年後に人類はベッドを発明し、その 14万年後に弓矢が作られ、それからさらに約 1万 7千年後に楽器が作られ始めました。それから 3万 3千年後の紀元前 10,000年頃、農耕が発明され、社会が本格的に動き出しました。
  • 文字ができるまでさらに 4,000年かかり、その後すぐに最初の車軸に車輪がつけられました。石器は車輪の約 3,000年後に青銅器に取って代わられ、鉄器に取って代わられたのはそれから 2,000年も経たない頃です。1,000年以内に紙が登場し、そこで歴史は大きく動きました。
  • その後 1000年の間に、風車、火薬、そして鍛冶や石工のための革新的な道具が作られました。それから 500年の間に、レンズ、メガネ、そして印刷機が誕生しました。顕微鏡が登場したのはその直後です。そして、印刷機から 300年も経たない 18世紀半ばに蒸気機関が登場し、本格的に蒸気が駆動し始めました。
  • その後 100年の間に、ワクチン、蒸気機関車、写真、電信が誕生しましたが、1870年までの平均寿命は、世界の多くの国でまだ 30年未満でした。その後 50年で、電話、電灯、自動車、飛行機、合成肥料が誕生しました。さらに 25年後、人間はテレビを手に入れ、人々を救うための抗生物質を手に入れ、人々を殺すための核爆弾を手に入れました。それから、最初のコンピュータが出現し、それから物事がどんどん進んでいきました。
  • 汎用コンピュータが発売されてからわずか 20年ほどで、人間は月面にまで降り立ちました。天然痘は、1796年に初めてワクチンができて、1980年に根絶された病気です。ちょうどその頃、TCP/IP というプロトコルが標準化され、インターネットの基礎ができあがりました。

現代のコンピュータ技術......そしてハッキング

インターネットプロトコルが策定されてから約 10年後、自己増殖するインターネットワームが初めて公開されました。これは、インターネットが、ほとんどの人がまったくアクセスできないものだった時代の出来事で、ましてや、生活必需品に利用されるよりも数年前のことでした。

インターネットが普及してからのイノベーションの数は数え切れないほどです。しかし、セキュリティに携わる人なら誰でも知っているように、こうした革新的な技術がすべて良いものであったわけではありません。

そう、人間は宇宙ステーションを建設し、遺伝子の編集を学び、かつてのスーパーコンピューターレベルのコンピュータ技術を世界人口の半分がポケットに入れて持つようになり、そして mRNA ワクチンが開発されました。今では私たちは、道具が存在していた期間の 0.001%しか占めていない「道具」に、完全に依存するようにもなっています。これほどまでに開発が加速されたことで、これらのシステムに対する攻撃も同様に急速に進歩しました。

次に来るのは?

祖先が道具を作り始めてから約 340万年後の 2023年の今日、新しい道具、そしてある道具が話題になっています。それは AI、特に、ChatGPT.です。

ChatGPT は生き物ではないし、魔法でもありません。SF 作家のアーサー・C・クラークはかつて「十分に進歩した技術は魔法と見分けがつかない」といいましたが、ChatGPT はそれに近いものがあります。でも実際には ChatGPT も、新にあらわれたひとつの、強力なツールに過ぎないのです。狩猟用の石斧が他のヒト科動物の棍棒に使われて以来、道具は良い意味でも悪い意味でも使われてきました。ChatGPT も同様で、善と悪の両方を、これまでよりうまく、より速く行うものなのです。それが、技術の進歩というものです。

そう、攻撃者の技術革新はかつてないほど速くなっています。このままでは終わりません。私たちは、常に革新される技術と共存していかなければなりません。ただ、忘れないでください、イノベーションは悪いばかりではなく良い方向にも働くものです。機械学習や人工知能は、攻撃だけでなく保護にも利用できますし、実際に利用され始めています。悪意のある人は ChatGPT のような巨大な機械学習モデルを使って新しい攻撃を開発しようとするでしょうが、善意の人はそれを使って新しい防御策を考えていくでしょう。これらのツールはすべて非常に新しいものではありますが、ある意味、何百万年も前から同じであることを忘れてはいけません!

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